こちらの金魚、写真ではなく描かれたもの。
深堀さんの作品を初めて見たのは、数年前のテレビでした。
すごくリアルな金魚に本当に驚いた記憶があります。
つい先日、岡山の実家に行った時にたまたまこの展覧会のことを知り、自分の目で観てみたいという衝動にかられ、急遽出かけました。
岡山シティミュージアム
岡山市北区駅元町15-1 リットシティビル南棟4・5階
岡山駅から歩いてすぐです。
中に入ります。
写真撮影は、最初と最後の許可されているところのみ可。
途中は撮影禁止でした。
ただ作品を鑑賞するのではなく、こういう背景を知ると、同じ作品でも違って観えます。
大学3年生の時に制作されたという『自己像』(1993)がこちら
肺の部分に、煙草の吸殻がたくさん詰まってました。
卒業制作の『Fishbone』(1995)(頭部のみ)
2004年の金魚は、まだ少し平面的
2020年の金魚は、生きているようにしか見えない。
金魚が動かないのが不思議なくらい。
花びらも超リアル。
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撮影不可ゾーンに、2001~2022年までの深堀さんの歴史を「僕の金魚酒history」として、当時の作品とともに展示してありました。
説明文はおそらくご本人の直筆で、かなり見応えがありました。
ご本人の鉛筆での説明書きから、思いがより伝わってきました。
作品を観ると初めは平面的だった金魚が、2010年頃から立体的になり、リアルになっていく様子がよくわかりました。
本当に見事な金魚です。
描かれた金魚だなんて、自分の目で見ても到底思えません。
このような作品は今まで見たことがなく、唯一無二であると感じました。
人間ってこんなこともできるんだと、人間の可能性も感じました。
また撮影不可ゾーンには、モネのことを書いた記述もあり、わたしの興味を惹きました。
モネの作品は大好きで今までにたくさん観てきて、数日前に大原美術館でも観たばかりでした。
「クロード・モネはたくさんの『睡蓮』の絵を残しているけれど、モネが描こうとしたのは睡蓮ではなく、睡蓮の周りに映りこむ ゆらぎの光景なのではないか」という記述があり、なるほどと思いました。
タイトルの『睡蓮』から、睡蓮が描きたいものであると信じ切っていましたが、そう言われるとそうかもしれないと思えてきました。
『睡蓮』というタイトルだったとしても、一番描きたかったのが睡蓮なのかどうかは、モネに聞いてみないとわかりませんね。
新しい視点でした。
今度はそのような視点で『睡蓮』を鑑賞してみたいと思います。
ドローイングの中でわたしが一番好きな作品はこちら
色合いがすごく綺麗です。
美しい✨
文章もかなり興味深い内容で、これに限らずどれも読みごたえがありました。
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これらの金魚はすべて描かれたもの
ただただ驚くばかり😲
<展覧会の最後の展示>
2022年に亡くなったお父様への鎮魂の祈りを込めて描いた作品
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裂け目の奥には宇宙が見えます。
金魚の展覧会で、まさか宇宙が登場するは思っていなかったので、ドキッとしました。
<最後のメッセージ>
本当にそうですね。
海があり、川があることを我々人間は知っていますが、金魚は知りません。
水槽の中では自由に泳ぐことはできるけれど、我々から見ると、それはすごくすごく小さな世界です。
でもその世界しか知らないと、金魚は世界はそんなものだと思いますよね。
わたしはこのメッセージを読んで、いつの間にか金魚を人間に置き換えていました。
わたしたちが自由に行動しているこの世界も、実は狭い小さな世界なのではないだろうか。
そして、水槽の外に人間がいるように、我々の世界の外にも何か大きな存在がいてもおかしくはない。
いるともはっきり言えないけれど、いないとも言いきれない。
知らないだけで、もっともっと広い世界があるのではないか。
この最後のメッセージを読んでそんなことを思っていました。
展覧会のことを知り、居ても立っても居られず、その2時間後には会場で作品と向き合っていたのですが、思っている以上に奥が深い展覧会でした。
岡山では5月26日まで開催されています。
ご興味のある方は、是非ご鑑賞ください。
岡山のあとは
2024.6.8[土]- 7.28[日]福井市美術館
2024.8.4[日]- 9.29[日]秋田県立美術館
となっているようです😊
こちらのサイトから、ご本人のインタビューや作品制作風景の動画も観られます。
ただリアルな金魚を見てみたいという思いだけでやって来たのですが、いろいろなことを深く考えさせられた展覧会でした。
本当に観に来て良かったです。